火星R

思考をそのままアウトプットする試み

価値について

 ある物や人の価値がどうやって決まるかと言えば当然、相対的に決まる。

 もし価値が絶対的であるなら、今後の人生出会っていく良い価値のものはどんどんインフレすることになり、ジンバブエのような価値のハイパーインフレが起こること必至である。今必要なものは10分後には必要でなくなるかもしれないし、全く役に立たないものでも来年には必要なものかもしれない。

 自分が所属している会社では一番年下の者が電話番をすることになっており、後輩がいつも電話を取っていたのだが、その後輩が別のプロジェクトに顔を出すようになって自分が電話を取らなければいけない場合が出てきた。この時、全く役に立たない後輩でも自分の中で価値が高まることがあるのだなーと素朴に感じたのである。

 さて価値が相対的に決まるのは当然として、問題なのはその範囲である。ある個人が物や人の価値を測るときには必ずその範囲を限定する。自分にとって後輩が役立つかどうかの価値を測っても、たまたま電車にいたオバサンが自分にとって役立つかを測ったりはしない。つまり自分の領域にあるものの価値は測るが、領域から外れると比較の対象にはならない。

 このことから考えると人はローカルな閉じた環境にいたほうが幸福に感じやすいのではないかと思う。ある組織の中だけで活躍できる人は外に出た途端、全くの役立たずだと判断されるかもしれない。学歴が大事だと必死で勉強に励み、国内でいい大学入っても、国際的に見たら全然大したことないかもしれない。日本一のスラッガーがメジャーに挑戦しても思ったような成績を残せないかもしれない。

 この例はいずれも外に目を向けてしまったが故に幸福度を減らしてしまったパターンだ。同じ組織で高い地位を維持したり、国際情報に目を向けなかったり、メジャーに挑戦せずに日本一のスラッガーの称号を持っていたほうがもしかしたら幸福な人生だったかもしれない。つまりグローバルな環境に移行することは全体の幸福度を下げやすくする(個人ではグローバルな環境で成功する人がいても、競争相手の増加により相対的に不幸になる人が多くなると予想)。

 最近ではAKB48を初めとする非常に距離の近いアイドルユニットが乱立していると聞く。これらのアイドルは握手会などファンとの交流を蜜に行うことで多くのファンを獲得している。この状況は実は女性の幸福度を下げるのではないかと思う。なぜならアイドル(平均より容姿が上と思われている女性)に気軽に会いに行けることで、今まで価値計測の範囲外だったアイドルがその領域に入りやすくなったからだ。アイドルが一般男性の考える女性の価値判断の領域に侵入してくると、一般女性の価値がどんどん下がっていく。「女性は異性と交際したい」と考えていると仮定すると、アイドルによってこの願望が叶うことが難しくなり、アイドル登場以前より不幸せになりやすい。

 当然会いにいける男性アイドルユニットが乱立すれば、一般男性の価値はどんどん減って男性も女性も不幸せになるというディストピアが到来する。